過去観測所

縦書き作法

バレンタインでの出来事

至って普通の日と変わらない日々を過ごし、帰宅したのだが電車を一本逃してしまったために遭遇してしまったことである。
お昼にチョコレートではなくバームクーヘンを食べ、帰路についたわけだが一足先に電車が出てしまい、仕方なく次の電車を待ち、箱型の席の奥、窓側に座り本を読むことに。向かいにはぽっちゃりとした20代前半くらいの少し白痴のように見える女性が、隣には白いコートを着た女性が座った。隣の女性は正直よく分からなかった。というか、その人は真横を、通路側を向いていた。座席に対してほぼ直角。すごい嫌われ具合だ。
何か嫌な予感がしていたため少し辺りに注意しながら本を読み始めた。すると、電車が発車する前から向かい側の女性は包装紙から何かを取り出し何かを食べ始めた。ははん、チョコレートかとおもったが、本を読んでいたため音のみでの推測である。今度は、隣の女性が缶コーヒーを開け飲み始めた。最近出回ってる蓋付きの缶コーヒーである。コーヒーのにおいが充満し、私もこの隣の女性を嫌うことにした。
本を読みながらウトウトし、気づいたときには隣の女性は降りていた。そして、向かい側の女性が独り言を始めていた。それは次第に大きくなり、すすり泣きにまで発展した。どうやら反復したために感情が固着してしまったようである。聞き取れたのは「そんなんじゃ、一緒にいれん」という言葉だけである。
そして、本泣になりそうだと思ったとき、かの女性は降りていった。
話はこれだけなのだが、妙にひっかかっている。